2012年10月16日火曜日

新人現る。

10月から新たに一人、白鼠に入ることが決まった。彼女はもともと絵を描いており、点描画を描く。ペンで描く。8月にわたしは、薬院にある「シゲキバ」というギャラリーで幾人かで絵を展示する機会を頂いたのだが、その際、「絵を出さない?」と誘って彼女も展示した。彼女とは前から友人でもあり、大正通り沿いにあるお洒落な眼鏡屋、4adで出会った。以前より4adの店長さん、店員さんとは仲の良くしているのだが、ある時期、彼女はそこでスタッフとして働いていたのだ。勿論そういったわけもあり、彼女はいつもお洒落な眼鏡をかけている。もともと感度の高い子だ。
この日は、体験レッスンと称し、まずはお話からする。
誕生日とか、好きな色とか、好きな天気とか色々聞く。好きな天気は「曇り」。
うん。納得してしまう。そうだろうね、晴れより曇りが好きなのね。彼女はそんな空気を持った人だ。因にわたしは雪の深々と降る日や、天気の日に少し雨が降ったりが好きだが。空中に動きのある日が好きなのかもしれない。見る見るうち変わってゆく姿が。
この日彼女は素敵な絵を描いた。わたしの用意した、吹きガラスのコップ、蓮根、花瓶、油の筆洗液の入った瓶、林檎。最初テーブルについて、まじまじとこれらを手に取り見ていた。最初は鉛筆デッサンを描いてもらおうかと考えていたが、レッスン開始後の諸々聞き込みをしていた彼女との対話の中で、「褒められる絵を描くな」と美術の先生に言われたことが良くも悪くも彼女が絵を描く時に頭の中に存在してしまうらしく、(彼女にとって、よほどその先生の存在は大きかったとみえる)絵を描くにあたり、常では無い様だが、少し構えてしまうこともあるらしいのだ。そうなってくると、わたしの用意したモチーフで、しかもデッサン(精密画)を描いてもらうというのは違う気がしてきたぞ。
どうしようか。少し考えた後、「いつも使うペン持ってる?」聞いてみる。「持ってます」「ではそれを使ってこの置いてあるモチーフの好きなのだけ選んで自由に描いてください」にした。きっと彼女には決まった様に描くより、こっちの方が良いだろう。
彼女自身が描きたい世界観がはっきりとしているから。わたしは彼女の描く絵が好きだ。
白い紙のなか黒い点と、黒い線だけで作り出される、空白と黒の世界。

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