ある日のレッスン。生の魚を描くことにした。本当は水槽でもよいから、水を泳ぐ魚を見て描いて欲しい。さらに言えば、海にもぐって、海の中で紙に描くことは出来ないけれど、水の中で目を開けて、魚にも筋肉のようなバネの動きがあることを、水中で息の出来てしまう不思議さを、感じながら頭の中にたっぷり記憶して、海からあがって体を拭くことさえ忘れて紙の上に表現して欲しいくらい。まあ、これは言いすぎね。言っているわたし自身、そんな風にしたことないんだから。ただ、やはり、生きている動きと、もう動いていない状態では、まったく違うものだから。生命力というものかしら。
普段、子供たちはスーパーで売ってある魚を見ることのほうが圧倒的に多いから、いや、大人もそうか。わたしもそう。
色ののせかたが本当によい。この生徒さん、水彩画の色合いがいつも本当に繊細で素晴らしい。わたしはもっとがっつりと描いてしまうので、こんな風な清々しいかんじにはならない。
さて、これから下の絵たちは子供達の絵。生の魚の置いてある教室に入るなり、くさいーーっと口々に言っていて、いえいえがまんがまん、生の魚は魚くさいのは当たり前なのよ。今日はこれを描くの。「えーーー!!」
まずは男の子。まるまるしていて勢いをかんじる。ほら、光っている部分もギラリ。お顔はかわいらしい。まだ若いお魚のよう。
その日の午後、桜坂教室でも同じことをした。同じ魚を描く。桜坂の子供達の反応はくさいーーーはなかったものの、表情はやや嫌そう。鉛筆の先でつついたりしている。つついた鉛筆をさらに、くんくん。。ウゲ。って顔をしている。しかし子供達諸君、魚は好きでしょ。食べたりもするでしょ。といいつつ、見ていて反応が面白い。
これは女の子の絵。この魚もまるまるしている。性格が良くって友達の多いお魚だろう。絵には性格が現れるてなもので、この子の絵は本の挿絵になりそうな表現のようにいつも思う。いつも少し緩さがあって、よい感覚。
今回は、子供達にとって綺麗でも楽しいでもないモチーフだったかもしれないけど、普段何とも感じていないものにも、それにはそれの、不思議な形を持っているのよ。
だって魚ってこんな形、水の中で生きいて、よく考えたら、人が出来ないことばかり出来ちゃってるかもしれないのよ。
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